WEBセミナー

  1. Home>
  2. WEBセミナー Topics>
  3. 【第9回】
【第9回】 移乗動作を補う道具とその使用方法 福祉用具専門相談員 富田智子
2011/02/01
今回は、移乗動作を、安全で容易に行うための道具とその使用方法についてご説明させて頂きます。

前回のセミナーで、移乗方法は大きく3通りの方法に分類することができることをご説明させて頂きました。
  1. 立位移乗・・・立って移乗動作を行う方法
  2. 座位移乗・・・座って移乗動作を行う方法
  3. 臥位移乗・・・寝たまま移乗動作を行う方法

すべての移乗動作において、大きな重心位置の移動が必要になりますが、この重心移動がご本人や介助者にとってとても大変な作業になります。
余談ですが、ノルウェーでは保健職員にかかる身体的負担の限度を下記のように制定されています。
『前方に身体を曲げた形で持ち上げるときの自分の身体と対象(患者)の重心の距離が45cmかそれ以上の時は、持ち上げの限度は15kgである。』
(『移動・移乗の知識と技術』中央法規より)
この頃のノルウェーでは、施設や病院に勤めている専門職が、身体的負担が大きいために仕事を辞めてしまう事態が長く続いたそうです。
“福祉先進国”ノルウェーの専門職でさえ、移乗動作は大きな負担を感じる作業であった訳ですので、皆さんがご苦労されることはごく自然なことであるかもしれません。
この移乗動作における負担を軽減し、スムーズに行うことができるようにしてくれる道具が移乗機器、移乗用具になります。
移乗方法を検討、決定された後、これらの道具を併用していくことで、移乗における負担を大きく軽減することができます。
道具を選ぶ際、重要なことは、
  • ご本人及び介助者の身体能力や状況に適した移乗方法であること
  • 用具や機器が、安全に使用できる住環境であること
  • 移乗機器、移乗用具と、その他の福祉機器、福祉用具が、それぞれ併用できる機能を有していること
  • 使用方法を、無理なく覚え、継続して使用できること
  • 使用するために必要となる費用についての理解(助成の有無)
などがあげられます。

どの道具を使用する場合であっても、必ず専門職との”試用評価”を行い、安全でスムーズに使用できるまでトレーニングを行うことをお勧めいたします。
そして、新たな道具を使用した後も、その方法が最適であるか否かの評価を断続的に行い、不適切と判断されれば見直していくことも必要になります。

では次に、移乗動作を補う道具の使用例をご説明させて頂きます。

  1. 立位移乗を補う道具の使用例
    1. 手すり
      立位移乗を行う方の場合、掴まるものがあれば、何とかご自身で立ち上がり、方向を変えることができることがあります。この時、移乗動作を行う場所に手すりを設置することで移乗動作を安全でスムーズに行うことができるようになります。
      【動画1】
    2. トランスファーベルト(移乗ベルト)
      手すりに掴まるだけでは立ち上がれない場合や、立ち上がることはできるが方向を変えられない、立ち上がった姿勢を保つ事ができないなどの場合は、移乗ベルトを使用すると効果的です。
      【トランスファーベルトの使用例】
    3. ターンシート
      ターンシートも、方向を転換する場合に効果的です。
      【ターンシートの使用例】

      【ターンシートの使用例(拡大)】
  2. 座位移乗を補う道具
    1. トランスファーボード(移乗ボード)
      立ち上がることはできないが端座位になることができる場合、端座位のまま臀部を滑らせて方向転換することが可能になります。
      【トランスファーボードの使用例】

      【トランスファーボードの使用例(トランスファーベルト併用)】
    2. トランスファーシート(移乗シート)
      ボードと同じように使用することができますが、ベッド上で体位を変換したり、位置を修正する場合にも効果的です。
      【トランスファーシートの使用例】

      【トランスファーシートの使用例(臥位修正)】
  3. 臥位移乗を補う道具
    1. トランスファーシート(持ち手付き移乗シート)
      身体に容易に差し込むことが可能で、多くの持ち手が設置されており、複数の介助者が楽で安全に移乗を行うことができます。
    2. 移動用リフト
      吊具をご利用者に装着し、介助者がスリングシートを装着し、スイッチ操作を行い、持ち上げて移乗を行います。一連の流れを覚えてしまえば、どんな方でも容易に使用することが可能になります。
      【移動用リフトの使用例(ベッドから車いすへ)】

      【移動用リフトの使用例(車いすからベッドへ)】
以上が、移乗動作を補う道具の一例になります。今回は、一般的な使用例をご説明させていただきましたが、どんなに良い道具をお使いになりたくても、ご本人・介助者・環境に適合していなければ、意味のないものとなってしまいます。
ご自分の生活に合った道具を検討し、専門職の指導のもと、十分なトレーニングを積んでいただければ、安全で楽に移乗を行うことができ、無理なく続けていくことができるかもしれません。
『移乗動作』について、日々、ご負担に感じておられる方は、まず、担当のケアマネジャーさんにご相談されて下さい。今回のような方法を、ご一緒に検討して下さると思います。

では、今回もWEBセミナーを受講頂きまして、ありがとうございました。
皆さまの、移乗動作に関するご負担が軽減されることを強く願っております。

このセミナーに関するご意見・ご感想等はこちらより。お待ちしております。

リンク栃木ブレックス 匠