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【第29回】〜『自助具』について〜
福祉用具専門相談員 富田智子

【自助具とは】

『自助具』というものを、皆さんご存知でしょうか。

聞いたことはあるが実際にはどのようなものか良く分からない…という方も多いかと思います。
私も、自助具を必要とする方のお宅を訪問し、「こんな道具があったのか。」「もっと早く知っていたらよかったな…」などというお声を、良くお聞きします。
そのような自助具ですが、今回は、私なりに自助具についての考え方をご説明をさせて頂きます。

人は、けがや病気、加齢などにより、身体の機能が衰えてしまうと、生活意欲が低下し、自分でできることも、他人に頼ってしまうようになることがあります。
そこで、できるだけ自分の力で、日常生活動作が行えるよう、それぞれの症状に合わせて工夫し、作られた実用的な道具が『自助具』です。
自助具は、英訳すると”Self−help device”…「自らを助ける用具」と言います。
第二次世界大戦後、リハビリテーションとともに国内に導入されました。
現在では、病院や施設、在宅での日常生活でも、当然のように使われるようになってきました。

これらの自助具は、【用途】や【種類】によって、次のようにまとめられます。

【自助具の用途】

  • 食事、更衣、整容、排泄、入浴、移動などの身辺処理に用いられるもの
  • 調理、買い物、清掃、裁縫、洗濯などの家事に用いられるもの
  • 書字、電話、計算、パーソナルコンピュータなどの作業に用いられるもの
  • 手芸、カード、ゲーム、読書、スポーツなどのレクリエーションに用いられるもの
  • その他の生活行為に用いられるもの

【自助具の機能】

  • 切断や奇形による身体的欠損、損傷や疾病による筋力低下に対して、動作や姿勢保持の力を代償するもの
  • 切断や奇形による身体的欠損、損傷や疾病による関節の動きの制限に対して、代償機能をもつもの
  • 損傷や疾病による感覚知覚の障害機能を代償するもの
  • 特に脳の損傷や疾病による物の握離・保持・移動などの動作における運動調節の障害機能を代償するもの
  • 損傷や疾病による両手動作の機能障害を代償するもの

上の表のように、生活上、必要と考えられる動作にくまなく対応するため、用途範囲は広くなります。
また、個々の身体機能を補うものとして、個人の状態に対応できるよう、自助具の種類も機能も多くなっています。
ユーザーの症状を問わず、より多くの方々に使いやすいものとして良く知られている“ユニバーサルデザイン”のものや、自助具から始まり、一般的な商品として受け入れられた道具も少なくありません。

このように、とても多くの方々に使用されるようになってきた自助具ですが、よりご自身の状況にあった道具を探す際には、下記のような点に気を付けると良いでしょう。

【自助具の条件】

  • 安全性・清潔さが保て、管理し易いこと
  • 機能性が高く、身体機能的弊害がないこと
  • 独力で使え、操作が容易なこと
  • 適合勢作・修理可能で、耐久性があること
  • 入手しやすく、適正な価格であること

作業の向上を図ることができる道具が自助具ではありますが、ご自身の症状よりも、自助具の機能が充実しすぎてしまいますと、身体機能の低下に影響してしまうことも考えられます。
よって、自助具を選ぶ際は、ご自身の身体機能において、どの動作を補うことができたら良いか、目的とする作業は何か、など、より具体的に必要性について検討されると良いと思います。
しかし、上記のように、安全性・機能性・操作性・耐久性・価格など、全ての条件を満たすことが難しい場合もあるかと思います。
実際に使ってみなければご利用者に合った自助具なのかわかりませんし、自分で使用して自信をつけ、時間をかけながら自分の物となってくるので、すぐには決められないことが多いでしょう。
そのようなときは、是非、専門職にご相談ください。
通院されている病院の医師や、病院やデイケアなどでリハビリを担当されている作業療法士や理学療法士、私達のような福祉用具専門相談員などが、自助具の専門職になります。
担当のケアマネジャーや、コーディネーターがいる場合は、「こういうところが大変になってきた」など、些細なことでも“苦労している具体的な動作(作業)を伝えてみる”ことが大切です。
生活の中で行っている動作は、意外に、意欲などの心情の変化により、楽しく感じたり、大変と感じたりするものです。
「ああしなければ」「こうしなければ」など、他者から強要されていると感じるような動作があるとすれば、これはなかなか上手く行かないこともあるかもしれません。
自助具を必要としている方の、心的な受け入れのタイミングを図ることも、見守る立場の方からすると、とても重要な時間になります。
今、とても大変に感じている作業、どうにもできないと感じている動作が、ご本人の意欲、介助者の声かけ、これに合わせて、適切な自助具を使う事により、ご本人の力だけでスムーズに行う事ができるかもしれません。

福祉用具と呼ばれる物の中では、より”道具”に近い自助具。
自助具を利用した方が「できた!!」と喜ばれる姿をたくさん拝見しています。
たった、ひとつの道具が、皆さんの、私達の生活を、どれだけより良くしてくれるのか、少しだけでも皆さんに伝われば幸いです。

次回のセミナーでは、実際の『自助具』を、より具体的に、写真などを交えてご紹介させていただこうと思います。
今回ご説明差し上げた自助具の中には、どのような道具があるのか、その道具をどのように使用するのか。
このセミナーが、皆さまのお役にたてることを願っております。

今回も、WEBセミナーを受講頂きまして、ありがとうございました。

参考文献:福祉用具専門相談員研修用テキスト

このセミナーに関するご意見・ご感想等はこちらより。お待ちしております。

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