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【第27回】障がい者や高齢者におけるコミュニケーションの手法やツールについて(前編)
福祉用具専門相談員 見目真一

こんにちは(「おはようございます」もしくは「こんばんは」)
いつもWEBセミナーを受講頂き大変ありがとうございます。
今回からは、前・後編の2回に分けて、障がい者や高齢者のコミュニケーションについてお話しさせて頂きます。
私達が支援に関わらせていただいている、障がい者や高齢者の方達の中には、”難病”の患者様が数多くおられます。最もお若い方は、出生後間もない方から、ご高齢の方では90歳台の方と、年齢も性別も生活状況もそれぞれ異なっています。
このような方々に多く見られる問題のひとつに、コミュニケーションがあります。
コミュニケーションとは、お互いの意志を理解し合うこと。
このことに注意して支援に関わって行くと、意志を理解し合うことが困難な方とお会いするような機会は多く、コミュニケーションに問題を抱えている方は、難病患者さんに限られたことではなく、その他のお病気の方でも2次的な障がいとして十分に起こり得ることだと気付きました。
そして、このような方とお会いする機会が増えれば増えるほど、この問題がとても大きく重要なことであることを知らされました。
自分で考えることは十二分にできる。
自分がしたいこと、したくないこと、しなければならないこと、されたくないこと・・・。
当然のように、生きるため、生きているための要望、希望について考える。
しかし、何らかの障がいにより、自分が思い望むよう、そのことを行う事はできない。
たった、それだけをしたいだけなのに、身体が動かない・・・。
今、すぐ、トイレに行きたい・・・。
しかし、トイレに行くことができない。
いや、トイレに行きたいことを伝えることもできない。
どうすれば、どうしたら・・・。
このことは、考え方によると認知力や思考力などを失うことと同じ、もしくはそれ以上に辛いことかもしれません。
最近では、何らかの病気等によりご入院されることがあった場合、退院時には、様々な専門職が立ち合いの元、今後の在宅生活に向けての話し合いが行われます。
この際、福祉機器、福祉用具、医療機器等についても話し合われる訳ですが、コミュニケーションについて深く取り上げられることは、まだ多くありません。
食事、排泄、医療的な処置、動作補助等、これらはもちろん重要なことですが、同等にコミュニケーションについても考えて行かなければならない課題になります。
皆様にも、このことの重要性を十分にご理解いただけたらと思います。
では、実際にコミュニケーションに障がいが生じたら、どのように対応して行けば良いか、ご説明させて頂きます。

  1. 機器を用いないコミュニケーションの方法

    コミュニケーションにおける問題が起きた時期によって、その代用方法は変わると思いますが、今回は後天的にコミュニケーションに関する問題が発生した場合についてお話いたします。
    一般的に、私達が他者との意志疎通を図る際、『言葉』を使うことが多いと思います。
    何らかの障がいにより、この言葉を使う事が難しくなった場合は、ぜひ、言語聴覚士(speech therapist)さんにご相談下さい。
    入院中の方であれば、入院中にリハビリテーション(リハビリ)が行われるようになります。このリハビリの際、医師にコミュニケーションに関するリハビリが必要であると判断されれば、コミュニケーションの専門家である言語聴覚士さんの指導を受けることになります。入院中で無くとも、現在では、様々な施設に言語聴覚士さんが配置されていることがありますので、まずは、このような専門家にご相談しましょう。
    言葉に関する問題が起きた場合、言葉を代用する方法として、最も一般的に使用されている道具は『文字盤』だと思います。
    文字盤にも様々な種類がありますが、多くの方に使用されている文字盤は、『透明文字盤』か『白地文字盤』になるかと思います。
    主に、手指の動作が確保されている方は、50音が記載されている白地文字盤の文字を指差すことで、言葉を伝えて行く方法になります。
    これ以外の状態にある方は、透明文字盤を使用されることが多いと思います。
    透明文字盤は、アクリル板に50音や定型文が記載してあり、これを介助者が読み上げたり、お互いの視線を透過して、伝えたい文字を読み取り、文章にしていくという方法になります。透明文字盤の使用方法は、多くの手法がありますので、専門家の指導を受けることをお勧め致します。
    どちらに関しましても、介助者が患者さんの意向を伺いながら制作することができます。
    ご自身で製作することが困難な場合には、市販されているものもありますので、これらを活用されると良いと思います。
    この文字盤の使用に長けてきますと、文字盤を使わなくとも、コミュニケーションを図ることができるようになります。患者さんと介助者の中で、いくつかのルールを作れば、患者さんは大きな負担なく、介助者に言葉を作ってもらうことができます。
    以上のように、文字盤を使う方法は、最もローリスクでわかり易い方法になります。
    特別な機器や技術を準備することなく、適切なトレーニングを行って行けば、多くの方が習得できる手法になります。
    コミュニケーションの障がいに関しては、まずは、このような”ローテクツール”を活用する方法を習得されることをお勧め致します。

  2. 機器を用いるコミュニケーションの方法

    最近では、科学の進歩が著しく発達し、コミュニケーションに関する様々な機器が開発されています。このことは、コミュニケーションツールを必要とされる方にとって、とても喜ばしいことであり、今後もこの分野の技術革新に関しましては、大きな期待を寄せて頂いて良いと思います。
    しかし、これらを必要とする方の中には、進行性のお病気を抱えている方もおり、一つの方法、機器を使い続けることが困難な方もおられます。
    このような場合であっても、先ほど申し上げました”機器を用いない方法”に関しましては、継続することができる可能性がありますので、これからご説明させて頂くような”ハイテクツール”に頼り過ぎることなく、どちらの方法も、上手に活用されることをお勧め致します。
    コミュニケーションに関する機器の種類は、大きく分けて2種類あります。
    まずは、直接入力方式(直接キーボードを用いて入力する方法)の機器についてご説明いたします。

    ペチャラ

    ボイスキャリーペチャラ(パシフィックサプライ株式会社)
    ※写真も同社HPより引用
    タイプが異なるものが数社から製造されていますが、基本的にはほぼ同じ構造になります。
    青い部分に50音等の文字盤が配置されており、入力したい文字が表記されているボタンを押すことで文字が入力できます。入力した文字は、本体上部のディスプレイに表示され、読み上げボタンを押すことで読み上げが開始されます。
    それほど多くの機能はありませんが、会話文の入力やある程度の長文の入力、定型文の呼び出し等、日常的なコミュニケーションを行うことは十分にできます。
    本体の大きさや重量から、持ち運んだり、車いす等に固定することができますので、常時、携帯することが可能です。
    機種によって違いはありますが、入力した文章をプリンタを介して出力したり、パソコン上で加工することもできます。
    次に、間接入力方式(入力装置を介して文字を入力する方法)についてご説明いたします。

    伝の心

    伝の心(日立ケーイーシステムズ株式会社)
    ※パシフィックサプライ株式会社HPより引用
    この方式の製品も、いくつかのメーカーでタイプ異なるものが製造されていますが、基本構造は同様になります。本体、OSは、市販されているパソコンになりますが、専用のオペレーションソフトが優先的に動作するよう組み込まれているため、パソコンでは無く、コミュニケーションツールになります。
    パソコンを使用しているだけに、この装置でできることはとても多く、日常会話や定型文の文字数や種類も限り無く多く、この他にも、リモコンで操作できる電化製品であればどのような製品も操作することができますし、インターネットやメールも容易に行う事ができます。
    操作は、パソコンのキーボードは使用せず、専用の入力装置を使用します。
    この入力装置には様々な種類があり、これらの機器を必要とする方の心身の状態、状況に応じて自由に選択することができます。

今回のセミナーでお伝えさせて頂くことは以上になります。
皆さん、いかがでしたでしょうか?おそらく、コミュニケーションについて、はじめて深く考えた方もいらっしゃると思いますし、とても難しそうな機械だな!?と感じられた方も多くいらっしゃると思います。
次回は、これらの機器が必要になった場合に受けることができる助成制度や、実際にどのように文字盤や機器を使用すると良いのか、動画を交えながらご説明させていただけたらと思います。
では、今回のWEBセミナーも最後まで受講頂き大変ありがとうございました。
次回もまた、よろしくお願い致します。

このセミナーに関するご意見・ご感想等はこちらより。お待ちしております。

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