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【第26回】介護保険制度における住宅改修工事の手続きについて
福祉住環境コーディネーター2級 富田智子

第19回から前回まで、『暮らしやすい家づくり』ということで、主に、介護保険制度における住宅改修工事についてのセミナーを行ってまいりました。
今回のセミナーでは、介護保険制度をご利用される際にご注意頂きたい点をお伝えさせて頂きたいと思います。
今回の内容は、少し複雑かもしれませんが、現在、私が関わっているケースで実際にあったお話も含まれておりますので、日々、制度を利用されている方々のご参考になれば幸いです。

まずは、役所に介護保険の申請を行うことが必要になります。
初めて利用される場合、この手続きが必要になる訳ですが、以前に認定を受けていたが、有効期間が切れ、再度申請を行わなければならないという場合も、有効期間が切れているため、新規の申請と同様とみなされます。
申請さえ行っていただければ、介護保険対象見込みの方として、介護保険制度に基づき、現場調査などのお話を進めていくことができます。
また、介護保険を申請される場合は、主治医の意見書が必要となります。
主治医の意見書が役所に提出されない限り、介護認定が下りることはありませんのでご注意ください。
介護保険を申請され、保険者である役所の様々な審査を受けた後、要介護認定がなされ、皆様の手元に『介護保険者証』が届くことになります。
介護保険者証を取得されれば、介護保険制度に基づく介護サービスの利用が可能になります。
介護サービスの一つである住宅改修工事も利用可能になりますので、役所に住宅改修工事の関係書類を提出し、許可が下り次第、施工が可能になります。
一連の手続きに要する日数は、各市町により若干異なりますが、数日から約2週間程度が一般的なようです。
介護保険制度に基づく住宅改修工事の支払い方法についてですが、市町によっては、『受領委任払い方式』と言う方法を取り、ご利用者の業者への支払額を始めから1割分とし、利用者の金銭的な負担を軽減している市町もあります。この場合、保険給付額の9割分は保険者が直接業者に支払うことになります。このような経緯もあるため、役所はその工事が制度に則しているか否かの事前確認をしなければならない訳です。
施工をお急ぎの方もおられるかもしれませんが、着工の許可が下りない段階で工事をすることは、介護保険の給付が受けられない工事になってしまう場合があることをご理解いただく必要があります。
「認定は下りていないが、既に介護保険の申請を行ったので早く手すりをつけて欲しい。」というご希望がある場合は、『償還払い方式』による住宅改修工事を行うこともできます。
『償還払い方式』とは、一旦、ご利用者が業者に全額を支払い、一定の期間を経た後、役所からご利用者のご口座に9割分が給付される仕組みとなっております。
この場合は、介護申請が申請中であり、認定が下りる前であったとしても、住宅改修工事の事前申請を行う事ができます。
事前申請を行う事で、住宅改修工事の対象の可否については役所の審査を受けることができます。
本来、介護サービスは、要介護認定に基づいて検討されるものである訳ですが、この場合、介護サービスを先に検討すると言う事になります。
ただし、9割分の給付を受けられるのは、要支援1〜要介護5の要介護認定が下りた場合に限られます。 万が一、これらの要介護認定が下りず「自立」と判断された場合、9割分が給付されることはありません。しかし、既に施工は完了している状態となりますので、施工費用に関しましては全額自己負担して頂くことになります。
状況により、やむを得ない場合もあるかもしれませんが、介護保険制度を利用される場合、その制度に基づいて進めて行かれる方が、速やかに制度を利用することができるのかもしれません。
それでも、現在、入院中であり、在宅の環境が整った上で退院される、というケースは少なくないかもしれません。この場合、病院のセラピストが、退院前、ご利用者と共にご自宅を訪問し家屋調査を行います。
入院中、ご利用者の家屋状況を写真や図面で把握し、その環境に基づいて行ってきた院内でのリハビリにより、実際に日々の生活ができるか否かの判断をする訳ですが、この時点で把握できるのは、あくまで退院時の身体機能に基づく事項に限られます。
中には、将来的な変化を踏まえる場合もありますが、ご利用者の身体機能他、生活における環境、状況の変化を、この家屋調査のみで評価、判断することはとても難しいことになります。
この場合、在宅で関わる支援チームに、この内容が適切に引き継がれることが重要となります。在宅の支援チームが、退院時の状況、リハビリ内容等を十分に把握していることで、環境作りも容易になります。
退院に向けた、当面の環境づくりは、安心してご相談できるはずです。
このような方法を取れば、急いでリスクの高い方法を取らず、介護保険制度を落ち着いて、有効に利用することができると思います。
一方で、入院中であったとしても、認定が下りており、退院に向けた家屋調査や、在宅支援チームへの引き継ぎも十分にできている方が、住宅改修工事を行うと言う場合、退院日さえ決定していれば、役所へ事前確認の書類提出をすることができ、許可が下り次第工事を行うことができる市町もあります。
この場合は、大きなリスクは無く、通常通り、介護保険制度に基づく住宅改修工事の事前申請を行う事ができます。

以上のように、介護保険制度の流れを把握して進めていかなくては、結果的に被保険者であるご利用者やご家族に大きな負担がかかってしまう場合があります。
このような工事は、あくまでご利用者が安全にご自宅で生活するための工事になりますので、私ども相談員が一番に考えることは、ご利用者自身のことです。
制度ばかりでなく、現在、ご利用者が置かれている状況を十分に把握し、より速やかに住宅改修工事が行えるよう、ご相談に対応させて頂くことが重要と考えています。
そして、これらの内容を、ご利用者が十分に理解できるよう、わかりやすく伝えていくことも大切なことです。

今回は、介護保険制度に基づく住宅改修工事の手続きについてご説明させて頂きましたが、各市町により、一連の流れが異なる場合があります。ご不明な点は、各専門職にお問い合わせいただき、直接、ご相談しながら進めて行かれると良いかと思います。
皆様が、少しでも安全で、快適に、ご自宅で生活できるよう心より願っております。
今回のWEBセミナーも、最後までご清聴頂き、大変ありがとうございました。

このセミナーに関するご意見・ご感想等はこちらより。お待ちしております。

リンク栃木ブレックス 匠